映画『インサイド・ヘッド』感想とあらすじ

『インサイド・ヘッド』は、11歳の少女ライリーが引っ越しをきっかけに心のバランスを崩していく姿を描くアニメーション映画です。

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感想

彼女の頭の中では「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」という5つの感情が司令部から行動を操っていますが、ある日「ヨロコビ」と「カナシミ」が大切なコアメモリーと共に司令部から飛ばされてしまいます。その結果、残された感情たちではライリーを導けず、彼女は次第に無気力になっていきます。

特に心を打たれたのは、ビンボンが消えてしまう場面です。最初、ヨロコビは「悲しみなんて必要ない」と信じて必死に前へ進もうとします。しかし、想像上の友達ビンボンを失うシーンで、彼女は初めて立ち止まります。子どもの頃の想像上の友達が「忘れられる」ことで消えていく描写は、成長の痛みそのものを象徴しており、強い喪失感を与えます。

また、ヨロコビが「悲しみの存在こそが本当の喜びを深める」という真理に気づく場面も忘れられません。そして、この映画を通じて幸福は哀しみなしには存在しないというメッセージ性を感じた。ラストでライリーが両親に自分の悲しみを打ち明け、家族に受け止められるシーンは、まさにそのテーマを体現しています。

さらに、細部のユーモアやリアリティも作品を支えています。例えば、ライリーの母の頭の中では「メインの感情がカナシミ」、父の頭の中では「メインの感情がイカリ」と描かれる場面。どの家庭も理想ではなく、実際にはこうしたすれ違いや不満を抱えている。こうした描写があるからこそ、物語は子どもだけでなく大人にこそ深く響くのだと感じた。

映像面でも、色鮮やかな記憶のオーブや「長期記憶」の世界など、視覚的に強烈な印象を残しました。ただ美しいだけでなく「感情と記憶の関係」を直感的に理解させてくれる仕掛けになっていました。

総じて、『インサイド・ヘッド』は「悲しみを受け入れることが人を成熟させる」という普遍的なテーマを、子どもにも大人にも届く形で描いた傑作だと思います。

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物語の起承転結

  • 11歳の少女ライリーは、ミネソタで幸せな日々を送っていた。
  • 彼女の頭の中では「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」という5つの感情が、司令部からライリーの行動を操っている。
  • ところが父の仕事の都合で一家はサンフランシスコへ引っ越すことになり、ライリーの心は大きく揺れ動く。

  • 新しい環境に馴染めず、ライリーは孤独や不安を感じ始める。
  • そんな中、司令部で「ヨロコビ」と「カナシミ」がコアメモリーを巡って衝突し、二人と共に大切な記憶が司令部から外へ飛ばされてしまう。
  • 残された「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」だけではライリーをうまく導けず、彼女は次第に無気力になっていく。

  • ヨロコビとカナシミは、記憶の迷宮や想像の世界を旅しながら司令部へ戻ろうとする。
  • 途中でライリーの空想上の友達「ビンボン」と出会い、協力を得るが、彼はライリーを助けるために自らを犠牲にして忘却の彼方へ消えてしまう。
  • 絶望の中でヨロコビは気づく――「本当の喜びは、悲しみと共にあるからこそ深まる」という真理。

  • ヨロコビとカナシミが司令部に戻り、ライリーは両親に自分の悲しみを打ち明ける。
  • 両親は彼女を受け止め、家族の絆が再び強まる。
  • ライリーの心には「喜びと悲しみが混ざり合った新しいコアメモリー」が生まれ、彼女は成長の一歩を踏み出す。

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