映画『ドニー・ダーコ』感想とあらすじ

リチャード・ケリー監督のデビュー作『ドニー・ダーコ』は、2001年公開以来、世界中でカルト的な人気を獲得してきた作品。

物語は1988年のアメリカ郊外を舞台に、精神的に不安定な高校生ドニーが、悪魔のようなウサギの姿をしたフランクと出会うことから始まる。フランクは「28日後に世界が終わる」と告げ、ドニーを不可解な出来事へと導いていく。

この映画の魅力は、ジャンルを超えて色々な要素が盛りだくさんの点にあった。青春映、心理スリラー、SF的な時間旅行の理論、そして宗教的・哲学的な寓話が複雑に絡み合い、様々な解釈を促すメッセージ性。観る者によっては「精神疾患を抱えた少年の幻想」としても、「並行宇宙を舞台にした時間旅行譚」としても、「殉教者の物語」としても成立する。こうした曖昧さが、繰り返し鑑賞する価値を生むと感じた。

ジェイク・ギレンホールは、孤独と混乱に苛まれながらも鋭い知性を持つドニーを圧倒的な存在感で演じ、観客に強い共感と不安を同時に抱かせるのがうまい。

ただし、決して万人向けではない。難解さや説明不足に苛立ちを覚える人もいるかもしれない。物語の論理性や時間旅行の理屈に疑問を持つ人もいるかもしれない。しかし、そうした欠点すらも、この映画を「解釈し続けられる作品」として特別な位置に押し上げている気がする。

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物語の起承転結(要約・ネタバレあり)

1988年10月、精神的に不安定な高校生ドニー・ダーコは、夢遊病のように夜中に外へ出て、悪魔のようなウサギのフランクと出会う。フランクは「28日後に世界が終わる」と告げる。その夜、ドニーの家に飛行機のエンジンが落下するが、彼は外にいたため命拾いをする。

ドニーはフランクの導きに従い、学校を洪水で混乱させたり、自己啓発のカリスマの家を放火したりと奇妙な行動を取る。彼は恋人グレッチェンと出会い、愛を知る一方で、時間旅行や運命についての思索を深めていく。周囲の大人たちは彼を理解できず、孤独感は増していく。

ハロウィンの夜、ドニーとグレッチェンは仲間と共に出かけるが、混乱の中でグレッチェンは事故死してしまう。怒りと絶望に駆られたドニーはフランクを撃ち殺す。しかしその瞬間、彼は自分が「並行宇宙」に閉じ込められていること、そして世界を救うためには自ら犠牲になる必要があることを悟る。

ドニーは時間を巻き戻し、最初の夜にベッドに戻ることを選ぶ。結果として彼は飛行機のエンジンに押し潰されて死ぬが、グレッチェンや他の人々は救われる。物語は、彼の死を知らない人々がそれぞれの生活を続ける姿で幕を閉じる。

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